2019/03/25 08:31
◎〔アナリストの目〕WTI原油、限月間の動きや建玉動向を注視=吉中晋吾氏
2月後半は若干失速気味であったニューヨーク原油(WTI)相場も、3月以
降は国内在庫の取り崩し等を好感し、昨年11月以来の60ドルを付けるなど底
堅い動きを展開している。ボトムはよりソリッドになったが、一方では、米中協
議の雲行きや世界的な景気減速等の不安定な外的要因を背景に60ドル近辺では
買方の利益確定が先行する構図となっている。
若干身動きの取りづらい市場環境ではあるが、直近1カ月は55~65ドルの
レンジを想定しておきたい。
原油市場の展望に関して、直近ではOPECプラスや減産監視委員会等の動向
にフォーカスした分析が主であるが、市場参加者も同じような考察に若干おなか
一杯といった感もあり、価格動向も関連情報に対して反応が鈍くなる傾向にある。
先行き不透明な時期、現場の運用者が特に気に掛ける材料の一つに限月間の動
きがある。筆者も毎回取り上げているスプレッドであり、スポット価格の動きだ
しの前兆となる底流のうねりとも言えるが、短中期のスプレッドの伸縮、そして
順ざやと逆ざやが切り替わる時期を特に注視している。
これらの視点を踏まえ、上昇転換の初動が2月14日、そして明らかな潮目の
変化が3月8日で確認されており、それぞれのタイミングを分岐点としてコンタ
ンゴの縮小とWTI原油価格の上昇が確認できている。
一つの視点にすぎないが、スプレッドの全体像に大きな変化が見られないとき
のWTI原油価格の上下動はレンジ相場の遊び、両方が連動しているときの上下
動はトレンド相場の戻りと押し目になる傾向にある。
3月21~22日のマーケットでは、WTI原油価格とスプレッドの両方が頭
打ち(買方の利益確定)で値を消す格好となったが、上述の傾向を踏まえ、今
後、二つの動きだしと連動性を注視しておく必要がある。
また、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉動向であるが、2月12日以
降からストレートで投機筋の新規買いと買い戻しが続いている。取組高に大きな
変動が無いことが前提であるが、投機筋ネットロングが50万枚台、そして
WTI原油価格が67.5ドル台を超えるタイミングでは市場はある程度の下押
しが考えられる。
※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表
【無断転載をお断りします。時事通信社】
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