2018/11/13 14:31

 

10日続落の記録とともに60ドルの節目を割ったWTI原油であるが、暫し上値の重い展開が続きそうである。

 

OPECの増産、米国の原油生産量の増加、そして石油需要の鈍化等の要因に加え、米国のイラン制裁緩和の報が更なる圧迫要因となり原油市場全体を押し下げる中、買い方は手仕舞い売りを加速させ、売り方は売りの手を緩める事無く攻め続ける構図となっている。

65-55ドルを足下のレンジと見る向きも少なくないが、現状、相場展開の速い市場環境であるため、今後は以下のポイントを手掛かりに転換期を見定めたい。

 

以下、2つの内部動向を確認しておきたい。

 

まずは、先物曲線の形状。

前回分(10/24)のレポートでは、10月17~18日に期近限月がコンタンゴになっており、「更なる曲線の拡大の場合は原油価格の続落、原油価格が踏み止まるのであれば曲線の縮小」という二つの可能性について考察したが、今回は、前者の流れを受け原油価格が続落する格好となった。

もっとも、11/9にWITが60ドルを割った水準ではコンタンゴの拡大にも歯止めがかかり、スポット価格と先物曲線の間に生じていた不均衡も解消された様に思われる。

因みに、ブレント原油であるが、8/15以来の安値70.30を11/9に更新する事となったが、伏線として、期近限月のスプレッドがコンタンゴにシフトしていた事は留意しておきたい。

 

次に、CFTC建玉動向であるが、直近データ(11/6)では投機筋のポジションが、新規売り増、そして買い手仕舞いの構図で、直近の流れを受け継ぐ格好となっている。投機筋ネットロングは40万枚割れ目前、そして総取組高も2018年5月中旬にピークアウトして以降、2016年11月以来の200万枚割れに迫っており、プレーヤーの減少に歯止めがかからない状態である。過去のデータを元に下値を探ると、55ドルも十分可能なレンジになるのではないだろうか。

 

現状、内部主導の相場に見えなくもない。

その様な時は、ファンダメンタルやテクカルで外堀を固めても3日あれば崩される。

ファンダメンタル・テクニカル・内部のバランス感覚は常に大切である。

しかし、「今」の様な相場では、上で言及した内部の動向をより重視して判断する事が鍵になると考える。

 

 

※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表

 

【無断転載をお断りします。時事通信社】

 

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