2018/04/11 07:10
◎〔アナリストの目〕NY金、4月の1300ドル台は盤石か=吉中晋吾氏
ニューヨーク金先物相場は、足元の米中貿易摩擦の高まりを材料に底堅く推移
している。米中貿易戦争の第1ラウンドとなった4月の初週だが、意外にも強め
のジャブの応酬が展開され、市場全体が混乱する中、NY金市場は「魅力ある逃
避先」として安定的に資金が流入している。特にサポートとして意識される
1300~1310ドルの水準では、短中期マネーが参入する構図が続いている。
今後の制裁関税案のスケジュールを考慮すると、少なくとも4月中において
は、1300ドル台は盤石のサポートとして意識されるのではないだろうか。
注目点は①ドルインデックス(米長期金利)②建玉動向(COTリポート)と上
場株式投資信託(ETF)残高の水準となる。
以下、それぞれのポイントを検証する。
①については、特に4月以降の逆相関の動きは、若干ちぐはぐな状態が続いて
いる。リスクオン・オフが目まぐるしく展開される中、複合的なポジションが絡
み、方向性がつかみづらいことが一つの背景と考えられる。米中貿易戦争を材料
に、機械的な手口がNY金とドルインデックスの裁定取引を行う頻度を高める
中、それらの売買ピッチ(速度と回転数)がレンジを狭めてしまう傾向にある。
このため、一般の市場参加者が意識するレンジよりも、より中心に取引レンジが
移動し、利幅の「うまみ」が薄れつつある。
②に関しては、3日現在の投機筋のポジションが約121トン減少している
が、値位置的には1350ドル台での利益確定、1310ドル台割れで新規買い
の動きが目立つことが分かる。短期視点の先物ポジション同様に、中期視点を反
映するNY金ETF残高の増減も上記レンジを意識した動きとなっている。レン
ジ自体は狭いが、一方ではレンジ相場の分かりやすさもあり、短期売買を回転さ
せるレンジ・トレーダーにとっては有り難い構図と言えるのではないだろうか。
米中が4月最初の週でハードなジャブの応酬を展開してくれたことで、NY金
そのものの「レンジと(応酬を数値化する)加減」の感覚がある程度認識された
ようにも伺える。下手に外部要因の動向に神経質になるよりも、上述のNY金そ
のもののレンジを意識した方が売買もより効率的になると考える。
※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表
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