◎〔アナリストの目〕WTI原油:上昇基調を維持

 

ニューヨーク原油(WTI)は、世界的な電力需要の増加を背景とした天然ガスや石炭価格の上昇を手掛かりに、80ドル超の水準に位置している。

直近では、石炭や天然ガス価格の高騰が和らぎ、原油を含むエネルギー価格全体での価格調整が行われているが、米国在庫減等の内部要因を背景にWTI原油は底堅さを維持している。

強弱材料が拮抗する中、相対的な割安感を手掛かりにWTI原油のバイアスは上昇基調を維持した状況下にあり、短中期の視点においては、95-75ドルのレンジで推移するものと予測する。

 

○一時的な価格調整

10月初旬以降、エネルギー高よる主要国の経済活動の圧迫懸念を背景に石炭や天然ガス価格が調整入りした。直近では、中国国家発展改革委員会(NDRC)が石炭価格を抑制する方法を検討し、また、海洋大気局(NOAA)が米国の暖冬予報を発表した事から、エネルギー市場における調整売りの流れが、一時的ではあるがWTI原油市場にも波及する事となった。

 

○WTI原油のバイアスは上昇基調を維持

利確調整で一時的に失速したWTI原油であるが、エネルギー市場における相対的な割安感から押し目を拾われ、その後は、米エネルギー情報局(EIA)が20日公表した15日までの週間在庫統計において、クッシングの原油在庫が2018年10月以来の低水準に落ち込むなどの強材料を手掛かりに、再びバイアスを上昇基調に修正している。

 

また米商品先物取引委員会(CFTC)のポジションにおいても、直近の価格推移とシンクロするポジション動向となっている。

上昇トレンドに転じた9/21頃以降、投機ネットロングは約7.7万枚増となっており、10/12までの間は75ドル平均の新規買い、そして直近は80ドル平均での買戻しの流れとなっている。上述のエネルギー市場における調整期間においては、WTI原油市場でも80ドルの分岐点で一時的な利確調整(転売)が見られたものの、直近ではセンチメントが逆転し、同水準が買戻しのエリアに転じている事は留意しておきたい。

 

○戻りと押し目のタイミング

戻りや押し目のタイミングに関しては、デリバティブ市場における内外曲線の水準も注視しておきたい。現状、10月初旬以降、WTI原油のバックワーデーションが拡大している。厳密には、相対的に先物曲線のバランスが均衡化しただけに過ぎないとの見方もあるが、足元、気持ちオーバーシュートの感もあり、これら過熱感は、単なる手仕舞(清算)ではなく、他油種への資金移動という形で緩和されるものと考える。

また、メカニズムの観点では、現状のロール・イールドが新たな資金流入と買い意欲を刺激している側面もあり、今後も、特に期近限月における曲線の伸縮が相場のスイッチの切り替えのカギになると考える。

 

〇相対的に底堅く推移

市場では、11月4日に予定されているOPECプラスの閣僚級会合の関心が高まっているが、上記、エネルギー市場全体における相対的な立ち位置、デリバティブ市場における油種間のイールドのバランス等を踏まえ、短中期の視点においては95-75ドルのレンジで推移するものと予測する。

 

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