原油価格と底流のうねり


2019/05/20 09:13

 

◎〔アナリストの目〕WTI原油、57~67ドルのレンジ=吉中晋吾氏

 

米中貿易戦争の激化による消費減少懸念等を背景に軟調な値動きとなっていた

ニューヨーク原油(WTI)相場も、5月以降は緊迫化する中東情勢を警戒し、

積極的な売りが控えられ緩やかな巻き返しに転じている。

 

米中間の激化とペルシャ湾情勢を背景に、消費と供給減少をめぐる強弱材料の

思惑が交錯する中、WTI原油は、節目の60ドルを意識した巻き返しが進んで

いるようにも見て取れるが、現状は、ブレント原油や製品等とのバランスを意識

した相対的な買いに支えられている側面が強く、自律的な反発のにおいは感じら

れない。

 

内部動向を整理すると、まず米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉動向に

関しては、66.60ドルの高値を付けた4月23日ごろを境に、投機筋は買い

玉を手じまい、新規の売りを増加させる動きを見せており、プレーヤー比率も同

様の推移となっている。ただ、WTI原油が節目の60ドルに近づいたこともあ

り、直近データのネットベースでは投機筋のロング減少度合いも緩やかになって

いる。

 

次にスプレッド/曲線の動向であるが、投機筋建玉の推移と呼応するように底

流のうねりにも変化が生まれており、5月以降、WTI原油が下げ止まるタイミ

ングと時を同じくして遠い限月から期近限月へと段階的に巻き返しの流れが形成

されつつある。

 

最終的には、期近に買いが集まることで本格的な当先の巻き返しにつながるこ

とも考えられるが、現状は、上述の通り、インターコモディティー等とのバラン

スでWTI原油が押し上げられている側面が強く、暫くは拮抗(きっこう)した

レンジ相場を続ける可能性が高いと考える。

 

上記内外要因を踏まえ、直近レンジは57~67ドルを想定しておきたい。

 

※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表

 

【無断転載をお断りします。時事通信社】

 

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About 吉中 晋吾 (よしなか しんご)

バーグインベスト株式会社 代表取締役社長 日系資金運用会社にてチーフディーラー兼ジェネラルマネージャーとしてデリバティブ運用業務、ディーラー育成に従事した後、2012年バーグインベスト株式会社設立。現在、同社代表。 国内外の裁定取引、スプレッド取引にフォーカスした運用スタイル。これまで指導してきたディーラーも国内外で独立し活躍している。 現在の会社では、市場研究とトレーダー/ディーラーの育成に力を入れており、また個人投資家に対しても基礎を中心とした教育プログラムを提供している。